2014.06.29 *Sun*

「幼き子らよ、我がもとへ」(修道女フィデルマ)

修道女フィデルマ・シリーズの第3作です。

◇「修道女フィデルマ」とは…
 7世紀のアイルランドを舞台に、
 王の妹であり高位の弁護士資格を持つ美貌の修道女フィデルマが
 数々の難事件に挑む歴史ミステリー。


幼き子らよ、我がもとへ」ピーター・トレメイン著
 甲斐萬里江・訳(創元推理文庫)

幼き子らよ、我がもとへ〈上〉 (創元推理文庫)幼き子らよ、我がもとへ〈上〉 (創元推理文庫)
(2007/09/28)
ピーター トレメイン

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 665年、フィデルマは故国・モアン王国の修道院を訪れた。
 隣国ラーハンの高名な学者でもある尊者ダカーンが
 修道院内の自室で何者かに殺害され、
 その事件の調査を依頼されたのだ。

 ラーハン王はダーカンの死の代償として、
 モアン王国の領土の一部を要求。
 その要求は法律上妥当であると考えられ、
 モアン王(フィデルマの兄)が拒否すれば戦争となることは必至。

 アイルランド五王国を統べる大王・シャハナサッハの御前で法廷が開かれるまでに、
 フィデルマは事件を解決し、
 二国間の戦乱勃発を食い止めることができるのか…?



「幼き子らよ、我がもとへ」は、シリーズとしては第3作、
長編の翻訳順としては2番目となります。
前作「サクソンの司教冠」の続きです。

上下巻ですが三日で読了。
ページ数が多くなるのに反比例して、
読み終わるまでの時間が短くなっています…
解説を読まなくて済むようになってきたのと、
やはり面白いからですね。


さて、先に謝罪を…
今までフィデルマを「王の妹」とご紹介しておりましたが、
本書「幼き子らよ、我がもとへ」の中で王が崩御し、
フィデルマの兄のコルグーが王位につきました。
という訳で、これでフィデルマは本当に 王の妹 になりました。
正確なご紹介ではなく、申し訳ありませんでした…
当時のアイルランドの王位継承制度は独特でした。
(前の王はフィデルマ兄妹の父ではない)
ご興味のある方は、「フィデルマ」で。



それでは、感想です。

重大なネタバレはございませんが、
これから「フィデルマ」をお読みになるご予定の方はご注意下さいませ。



今回は我らがワトソン役・エイダルフ君の登場はありません…!
ええ~、がっかり!
と思ったのは私だけではありません。
フィデルマも要所要所で「ブラザー・エイダルフがいれば…」と呟きます。
これはアレですね。
離れて余計に分かるあの人への想い…といった所でしょうか(*^_^*)
(当時のケルト・カトリックでは、
聖職者同士の恋愛・結婚は禁止されていませんでした)


今回の一番のポイントは…
依頼内容がとんでもない無茶振り!

・事件が起きてからフィデルマが現場に到着するまで二週間。
・当然被害者の遺体は隣国で埋葬済み。(ドライアイスがない時代です)
・その間、修道院の人々の出入りは自由。
・消える参考人たち。
・盗まれる証拠品。
・法廷が開かれるまでの日数限定の捜査期間。
・結果によっては戦乱勃発の精神的圧力。


携帯も写真も指紋・DNA鑑定もない時代、
さすがのフィデルマも途方に暮れます。
そんな時に思い出されるのはエイダルフ君ですね~♪


ラストの法廷シーンは圧巻です。
当時のアイルランドの法廷がいかに高度で洗練されていたか、
良く分かります。
例え対立する相手にでも、人格を攻撃するような下品な野次は飛ばしません。
不規則発言をすれば、王といえども罰を科せられたのです。
(牛で支払うことが多いようです)


タイトルの「幼き子らよ、我がもとへ」は聖書の中の言葉です。

幼子らを許せ、我に来たるを止むな。(「新約聖書」マタイ19-14)



物語に深く関わるタイトル名です…

幼き子らよ、我がもとへ〈下〉 (創元推理文庫)幼き子らよ、我がもとへ〈下〉 (創元推理文庫)
(2007/09/28)
ピーター トレメイン

商品詳細を見る



最後に、当時のヨーロッパで猛威を振るい、
多くの人が犠牲になった「黄熱病」について調べてみました。

◇「黄熱(おうねつ)」とは…
 ネッタイシマカ などの蚊によって媒介される黄熱ウイルスを病原体とする感染症。
 日常生活における人から人への直接感染はない。
 潜伏期間は3~6日。
 発症後3~4日で症状が軽快し、そのまま回復することもある。
 症状は、発熱・頭痛・黒色嘔吐・黄疸等々…

コルグー(フィデルマの兄)の前の王も黄熱病で斃れました。
黄熱病に関して、フィデルマたちが考察する場面も興味深いです。


次(第4作)は「蛇、もっとも禍し」。

蛇、もっとも禍し上】 (創元推理文庫)蛇、もっとも禍し上】 (創元推理文庫)
(2009/11/10)
ピーター・トレメイン

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猟奇殺人事件…?
エイダルフ君は登場するのでしょうか?
楽しみです♪

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