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2017.10.09 *Mon*

『この本をかくして』

この本をかくして』マーガレット・ワイルド文 フレヤ・ブラックウッド絵
 アーサー・ビナード訳(岩崎書店)

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 敵の飛行機が落とした爆弾が町の図書館にあたった。
 町は燃え、図書館は爆発し、本は皆木っ端みじんになり空に舞い上がった。

 だが、ピーターのお父さんが図書館から借りていた一冊の本が残った。
 次の日、敵の軍隊がやってきた。

 ピーターとお父さんは鉄の箱に本を入れ、町を脱出した。
 人々は長い列を作り、何日も歩き続ける。

 お父さんはやせ細り、ある夜息が止まっていた。
 ピーターは鉄の箱だけを持ち、歩き続けた。

 だが、高い山を越えなければならなくなり、
 ピーターは鉄の箱を山の手前の村はずれのシナノキの下に埋めた。
 そして山を越え、ピーターは海を渡った。

 戦争が終わり、ピーターは再び鉄の箱を埋めたシナノキを訪れた。
 シナノキの枝にはブランコが掛けられ、女の子がブランコに乗って遊んでいた…



恐らく第二次世界大戦中、ユダヤ人の人たちが決死の覚悟で
ヨーロッパを脱出した時のお話ではないかと思います。
歴史が苦手な私の推測ですので、間違っていましたら本当に申し訳ありません。

本には解説がなく、出版社のホームページにも
元になった出来事があるのか否かの記述がありませんでした。

ピーターがたどった道は、『おさるのジョージ』の作者のレイ夫妻が
ドイツ軍のパリ侵攻前にパリを脱出し、ジョージの原稿を守りながら
スペインとの国境を越えてアメリカへ渡った時のいきさつと良く似ています。


ところで、ピーターが守り抜いた本は赤い表紙で、
昔の人たちの話が書いてあり、それは金銀・宝石より大事だと
お父さんから言われていました。
それはどんな本だったのでしょう?

「ぼくらがどこからきたか」が書かれている本とは…
もしかすると、「ハガダー」かな?と思いました。
これも私の拙い推理ですので、全然違うかもしれませんが。

※ハガダー(ハッガーダー)とは
 ユダヤ教徒が過越の祭りで用いる本。
 過越祭は、虐げられていたユダヤ人が、
 モーセに率いられてエジプトを脱出した歴史に由来する祭り。
 ハガダーには「出エジプト記」や祭りの式次第が記されている。

もう少し歴史的背景や本に関する解説が欲しかったですね。
日本人にはピンときにくい内容だと思いますので、
こちらの絵本を読んだお子さんから質問されても、
困ってしまう方が多いかもしれません。



*・゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。. .。.:*・゚・*


◇読んだ児童書(図書館利用)

池上彰のよくわかる世界の宗教 イスラム教』池上彰・著
 こどもくらぶ・編(丸善出版株式会社)



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2015.07.05 *Sun*

「夢へ翔けて」

西アフリカのシェラレオネの戦争孤児だった少女が、
世界的なバレリーナになるまでの半生を描いた自伝(ノンフィクション)です。

「戦争孤児から世界的バレリーナへ 夢へ翔(か)けて
 ミケーラ・デプリンス著 田中奈津子・訳(ポプラ社)

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 マビンディ・バングラさんは1995年生まれ。
 シェラレオネの、裕福ではないが温かな家庭に生まれた。
 女の子は教育を受けられないのが一般的な地域だが、
 父親はマビンディさんに読み書きを教えた。

 だが、そんな平凡だが幸せな生活は、内戦の拡大によって一変する。
 「革命統一戦線」と名乗る反政府勢力(デビル)により父親は殺害され、母親は餓死する。
 マビンディさんは孤児院に収容された。
 孤児院での過酷な生活、職員による虐待…
 マビンディさんの心の支えは、
 アメリカ人ボランティアから貰った雑誌の表紙の美しいバレリーナの写真だった。

 4歳の時渡米し、アメリカ人夫婦の養女となる。
 温かい家庭で、マビンディさんはミケーラ・デプリンスとして第二の人生を歩み始める。
 やがてバレエを習い始めたミケーラさんは、黒人・皮膚にある白斑などの差別と偏見を乗り越え、
 その才能を開花させる。

 2011年、ドキュメンタリー映画「ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!」に出演。
 2012年、「十八歳以下の十八人――年間最優秀ティーン」に選ばれる。
 この時の受賞者にはパキスタン人人権活動家マララ・ユスフザイさんもいる。
 その他にも「二十五歳以下の注目すべき若き女性たち」等々に選ばれている。
 現在はオランダ国立バレエ団に所属。



幼いマビンディさんが故郷で経験した出来事は、
日本人の私には想像もできないような、悲惨なものでした。
同じ地球上の出来事は思いたくない…
でも、それは現実なのです。

ミケーラさんのバレエは、
「ファースト・ポジション」ではない他のバレエ番組で見たことがありました。
黒人であること、衣装から出る場所に白斑があること…
でも、はつらつとバレエに打ち込む少女という印象でした。

ミケーラさんの養家では、西アフリカからミケーラさんを含めて
6人の女の子を養女に迎えています。
中には、内戦時に銃弾を頭に受けたために
ハンディキャップのある子どもが最初の養家で上手く行かず、
デプリンス家に迎えられたというケースもありました。
ご夫妻の5人のお子さんの内、二人の息子さんは血友病で、
薬害被害によるエイズで若くして亡くなっています。

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2015.01.04 *Sun*

「この世でいちばんすばらしい馬」

中国の作家さんによる創作昔話絵本です。

この世でいちばんすばらしい馬」チェン・ジャンホン絵 平岡敦・訳(徳間書店)

この世でいちばんすばらしい馬この世でいちばんすばらしい馬
(2008/12)
チェン ジャンホン

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 貧しいが絵を描くのが大好きな少年ハン・ガン。
 少年が地面に描いた馬の絵を見た画家のワン・ウェイは、
 自由に絵を描ける環境を用意する。

 ハン・ガンの描く馬の絵はすばらしく、
 その評判は皇帝の耳にまで届いた。
 皇帝の命により、ハン・ガンは宮廷の絵師になるための学校に入る。
 しかしハン・ガンは先生の言うことを聞かず、
 馬の絵ばかりを描き続けた。

 やがて、奇妙な噂が流れ始める。
 ハン・ガンが描いた馬が、生きて絵から飛び出す、というのだ。
 噂を聞きつけた武将が、「この世で一番気性が激しく、
 勇敢で力の強い馬を描いてくれ」とやってきた。

 ハン・ガンの描いた馬にまたがり、武将は大勝利を収め続けるが…


絵の馬が戦場で使役される様には胸が痛みました。
ラストのハン・ガンの言葉は、静かですが力強いです。
大陸を駆け抜ける風のような、迫力のある物語です。

ハン・ガン(韓幹)は八世紀の中国に実在した画家とのこと。
作者のチェン・ジャンホンさんは、ハン・ガンと同じ手法で絹地に絵を描いたそうです。
(作者後書きより)

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2012.07.08 *Sun*

「へいわってどんなこと?」

日中韓、三か国12人の絵本作家の協力で実現した
平和を訴える絵本シリーズの第一作です。

へいわってどんなこと?」浜田桂子(童心社)
へいわって どんなこと? (日・中・韓 平和絵本)へいわって どんなこと? (日・中・韓 平和絵本)
(2011/04/01)
浜田 桂子

商品詳細を見る

平和ってどんな事?」という疑問への答えを示してくれる絵本です。
その答えを、本文より一部抜粋させて頂きます。

 


 おなかが すいたら
 だれでも ごはんが たべられる。

 ともだちと いっしょに
 べんきょうだって できる。

 いやなことは いやだって
 ひとりでも いけんが いえる。

 どんな かみさまを しんじていても
 かみさまを しんじていなくても
 だれかに おこられたりしない。


 ◇本文より



私にとっては、戦争や人権に関する絵本の取り扱いは難しいです。
今まで、公の場で読んだ経験はありません…
これからもし読む事がありましたら、
こちらの絵本を候補にしたいと思います。

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tag : 平和

2011.10.26 *Wed*

「おうじょさまとなかまたち」

おうじょさまとなかまたち
 アローナ・フランクル/文と絵 もたいなつう/訳(すずき出版)

【送料無料】おうじょさまとなかまたち

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価格:1,470円(税込、送料別)



副題は、『おうじょさまとゾウとウマとイヌとネコと
ハリネズミとトリとハチとイモムシのおはなし』です。

表紙の美しさにひかれ、手に取りました。
白い馬に乗った王女様が佇み、
その周りをゾウとウマとイヌとネコと
ハリネズミとトリとハチが取り囲む、
ふんわり優しいメルヘンな光景です。

 昔々、優しく賢い王女様が丘の上の小さな国に住んでいた。
 友達は、ハチ・トリ・ハリネズミ・ネコ・イヌ・ウマ、そしてゾウ。

 ある日、腹ペコで食いしん坊の小さなイモムシがやってきた。
 イモムシは、誰かにいじめられるとお腹いっぱいになって大きくなる。

 イモムシはハチに会った。
 イモムシがハチを脅かすと、ハチは驚いてイモムシを刺した。
 イモムシは満足して大きくなった。

 イモムシは誰かに会う度に、嫌な事をして相手を怒らせる。
 そして怒った相手に攻撃され、どんどん大きくなる。

 ついにイモムシはゾウよりも大きく、怪獣のようになった。
 そして、イモムシは王女様に出会った…


このイモムシ君、恐ろしく不気味な形相で、
インパクトは強いです。
虫が苦手な方(私もですが)には、
少々心臓に悪いかも…?

あとがきによりますと、
作者さんはポーランド生まれのユダヤ人で、
幼い頃にホロコースト(ナチスによるユダヤ人大虐殺)を経験し、
12歳でイスラエルに移民したとの事です。

恐怖と憎悪の連鎖を食い止められるのは、
この王女様のような、優しと賢さ、
そして勇気なのかもしれません。

おはなしの会でいつか読みたいと思いますが、
淡い色彩の絵なので、多人数の教室では難しそう…と悩みます。

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tag : 平和  昔話風

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